30.LifeCare
PLV-102, PLV-100
1.特徴(図III-30-1)
 電動モーターでピストンを駆動する構造の移動用の人工呼吸器である。PLV-100でも酸素の添加は可能であるが、呼吸数が変動する場合や、SIMVでは正確な酸素濃度を維持できない。PLV-102には酸素濃度を維持する機構が設けられている。どちらも内部バッテリーだけでなく、外部バッテリーによる駆動が可能である。
2.性能
 モード...............................Control, Assist/Control, SIMV
 一回換気量.......................50〜3000ml
 流量....................................10〜120LPM
 呼吸回数............................2〜40BPM
 バッテリー作動時間........1時間
 重量.....................................12.8 Kg
 消費電力.............................105 amp hrsの外部バッテリーでは24時間程度作動する。              消費電力は設定により変動する。
3.機構の概略(図III-30-2)
 一般的なポータブル人工呼吸器に採用されている方式で、MPUにより制御される電動モーターでピストンを駆動して吸気ガスを発生させる。呼気弁の駆動ガスも吸気ガス圧を利用する。SIMVモードでの自発呼吸用のガスは、外気よりフィルターと一方向弁を経由して患者に吸引(吸気)される。したがってこの際には若干の吸気抵抗が存在する。オプションにSIMV Hバルブがあり、これを利用して外部より定常流を供給すれば、吸気仕事量を軽減できる。必要ならPEEPバルブも各種の仕様が用意されている。PLV-102には酸素濃度自動調整機構が装備されている。これは酸素濃度センサーを患者回路の途中に設け、この情報を基に付加する酸素の流量を自動的に調節する機構である。自発呼吸時の吸気ガスの酸素濃度も調整してくれるが、厳密に言えば、システムの応答性の問題によりSIMVでは呼吸ごとに酸素濃度の変動を生じる。酸素濃度センサーは最初の強制換気で21%の基準値を得て自動校正する。
4.操作(図III-30-3)
1)電源
 使用している電源を確認する。AC電源、外部バッテリー、内部バッテリー、の順で優先される。一時的な使用以外は内部バッテリーに頼らない。バッテリーレベルはBattery Capacity Switchで適時チェックする。コンセントにつないでいれば、電源スイッチはON/OFFいづれの位置でも内部・外部のバッテリーは充電される。
2)機器の点検
 点検リストに基づき、毎日、患者回路や機器の作動を確認する。
3)機器の設定
 呼吸モード、一回換気量、換気回数、吸気ガス流速、トリガー感度、低圧アラーム、気道圧上限アラームを設定する。酸素を付加する際には酸素濃度を設定する。
5.アラーム
 設定矛盾、バッテリー電圧、低気道内圧、気道圧上限、酸素圧、機器故障、無呼吸、等のアラームが装備されている。
6.メンテナンス
1)患者回路は適時点検し、また、一定の期間で洗浄、滅菌すること。期間は患者の状態や使用環境により異なる。
2)本体背面にあるエアーフィルターは少なくとも週に2回は点検し、必要なら清掃する。
3)バッテリー保護のために使用していないときでもAC電源につないでおく。 
4)8,000時間もしくは1年ごとに正規のメンテナンスを受けること。サービス以外が本体ケースを開けると保証やメンテナンスを受けられない。
 
 
図III-30-1      PLV-102外観
図III-30-2      PLV-102構造
図III-30-3      PLV-102操作パネル