　BiPAPシリーズによって低侵襲性人工呼吸法を確立したRespironics社であるが、通常の人工呼吸器として登場したのがESPRITである。BiPAP Visionに呼気弁を設けた構造であるが、もちろん低侵襲性人工呼吸もできる。呼気弁を設けた目的は酸素消費量の低減と騒音の低減にある。

　Tバードのようにタービンの回転数によって直接吸気ガス流量を調節する方式でなく、ブロアーにより加圧されたガスを吸気バルブで流量調節して吸気ガスをつくりだす方式である。したがって、コンプレッサー内臓の人工呼吸器と類似と見なせるが、ブロアーの方が明らかに低騒音である。発生しうる最大吸気圧も100cmH2Oと充分である。例によって細部の構造は公表されていない。

　圧トリガー(0.1-20 cmH2O)もしくはフロートリガー(0.5-20 LPM)を選択できる。ただし、NIPPVモードではフロートリガーのみである。ベースフローはトリガー感度+3LPmである。

　オプションのバッテリーにより約30分間作動する。ただし、設定条件により増減する。酸素の付加を必要としなければ、酸素配管は不要である。

　10-60秒の無呼吸を検出すると作動する。この際アラームが作動し、あらかじめ設定しているApnea rateで換気する。

　操作はタッチパネルで項目を選択し、回転ノブで数値を選択し、入力キーで確定する。モード設定画面で、A/C, SIMV, CPAPのいづれかを選び、強制換気の種類をVCV, PCV, NPPVの中より選ぶ。その上でさらに必要なパラメーター、アラームの数値設定をする。

　正常、高度緊急(赤色の点滅)、中・低度緊急(黄色・薄黄色の点滅)の状態がある。

　気道圧上限、低吸気圧、低PEEP圧、頻呼吸、低呼気分時換気量、高呼気分時換気量、低強制１回換気量、低自発１回換気量、などがある。

　気道圧はバーグラフならびに、小さなグラフィックで常時表示される。実測データーはPatient Data、monitor画面で表示できる。

　タッチパネルは柔らかい布で清掃する。決してパネル下端を濡らさないように注意する。

　これらは、本体内に内蔵されており、加温フィルターで保護されているので日常的な使用での分解、洗浄、滅菌の必要はない。

　フィルター類はオートクレイブのみ可。吸気側フィルター、呼気側フィルターは、損傷の有無、閉塞の有無、抵抗を日常的に点検し、必要なら交換する。

2)病棟用人工呼吸器の機能とNIPPVがこれ１台できること以外は常識的な機器である。

3)メーカーの姿勢として情報開示に積極的でなく、あまりにも商業的である。医学は科学であるので、ブラックボックスのままの機器を無批判に使うことは許容できない。

BiPAPに呼気弁を装着した構造になっている。呼気弁は加温フィルターで保護されている。