9.IMI
CV-5000
1.特徴(図III-9-1)
CVシリーズは1975年の米国MRT社製のCV-2000を起源とするが、途中より日本販売代理店であったIMI社が生産を引き継いでいる。1985年にはCV-3000に、1991年にはCV-4000に、1992年にはCV-4000αに、1996年にはCV-4000αRev.2にバージョンアップしが、いづれも、CV-2000よりの部分的な改良モデルであった。CV-5000は、過去のしがらみを断ち切り、全く一から新設計されたモデルである。これはIMI社が人工呼吸器設計のノウハウを身につけてきたことの証明でもある。新生CV-5000は、基本に忠実なベーシックモデルの追求というコンセプトを基に、基礎的な性能の充実がはかられている。機構的には、ディマンドバルブ方式であるが、フローコントロールバルブ方式と比べて遜色はない性能に仕上がっている。
2.性能
1)利用できるモード
Control/Assist
SIMV+PSV
PSV
CPAP(定常流)
PCV
---------------------------------
+PEEP
+無呼吸バックアップ
2)基本データー
システム作動間隔時間... ? ms
最大吸気ガス流量
強制換気............78 LPM
PSV.................150 LPM
吸気ガススルーレート... ? L/s2
最大強制換気数.........70 BPM
最大SIMV回数.........70 BPM
3.制御回路、制御機構の解説
1)制御機構の概説
意外なことにCV-4000以前では主要な制御機構を古典的なニューマティック回路に依存していたが、CV-5000になりようやく、必然性のないニューマティック依存より解放され3ヶのCPU(Main: MC68HC916R1, PSV: TMPZ84C011AF, Monitor: KLSC80A12)によりコントロールされる電子制御になった。しかし、圧換気モード(PCV, PSV)は、いまだにディマンドバルブ方式に依存する。例えばDrager社のラインアップと比較すると、EVT-880の下位機種のMicroVentあたりに相当する構成である。この価格帯は世界的に見て激戦区であり、高機能と低価格のT-Bird VSO2や、国産で先行している木村医科工業のKV-5、また吸気制御能力の優れたNMI社のE-200や、さらにIMI社が総輸入代理権を持つBear-1000のベーシックモデルなど多くのライバルを持つ。しかしBIPAP機構によるPSV, PCVは高く評価できる。
2)ガス流量計測
吸気側には熱線型のフローセンサーが設けられている。呼気側にも熱線型のフローセンサーが設けられて、フロートリガーと換気量モニターが可能になった。
4.ニューマティック回路(図III-9-2)
O2/Air入力より入ったガスは、それぞれ、フィルター、ウォタートラップを経由した後、減圧弁で圧を調整し、機械式のミキサー(ミキシングバルブ)で酸素濃度を調整され、0.75リッターのリザーバーに蓄えられる。圧縮空気の供給が途絶えた場合にはクロスオーバーソレノイドの働きにより酸素ガスが機器制御用のガスになる。
1)CMV
電磁弁(EV-1)で、フローコントロールバルブを制御して吸気ガス(CMV)になる。吸気流量調節は機械式のフローバルブで行う。気道内圧や吸気流量による補正機能はない。ネブライザー駆動ガスが機械換気用とPSV, PCV用2系統用意されている。機械換気時には、吸気ガスの一部が分流されるかたちになるので、ネブライザー使用時にも換気量が変化しない。別系統のPSV, PCV用ネブライザーガスによる気道圧の変化はディマンドバルブが吸収するので、PSV, PCV用ネブライザーガスによる換気量の変化はおこらない。機械換気時にはEV-3が作動し、吸気時に呼気弁を閉じる。
2)PSV, PCV
PSV, PCVの吸気ガス制御はディマンドバルブよりおこなわれる。ディマンドバルブは基準圧に等しくなるまで、ガスを出力する機械式の部品で、基準圧の使い分けで通常のディマンドシステムとして作動する以外にPSV, PCV用の圧ジェネレーターとして機能する。PSV, PCVの吸気相では基準圧をPEEP圧からPSV, PCV圧にシフトする。電磁弁(EV-6)がこれを切替える。PEEPレギュレーターとPSV(PCV)レギュレーターはそれぞれの基準圧を作る。リザーバータンクの容量は750mlに増量され、ピークフローに対する追従性がより改良された。PSV, PCV時には呼気弁はPSV, PCV基準圧で閉じられる。つまりこれはBIPAPシステムそのもので、PSV, PCVの吸気相であっても呼気弁より呼気の排出が可能であるのは注目に値する。
3)SIMV
CV-3000以前ではニューマティック回路を利用してSIMVのスイッチを入れていたが、CV-4000以降では直接電気的に制御する方式になった(メインコントロール用CPUが担当する)。
4)呼気弁
呼気弁はCV-4000αと同じバルーン弁による方式である。呼気弁は機械換気時には完全に閉じられるが、PSV, PCV時にはBIPAPと同じ作動をし、基準圧で閉じている。
5)定常流
CV-4000以前の呼び方を世襲して定常流と名付けられているが、実体はベースフローである。フロートリガーを使用する際には6LPM以上の流量を設定するのが望ましい。多すぎるベースフロー設定(10LPMを超える量)は呼気弁抵抗のため、呼気初期相でのPEEP圧の上昇を招くので有害なことが多い。
5.制御ソフト
各機能の説明
1)トリガー方式
圧トリガー方式とフロートリガー方式が併用されている。どちらか先にトリガーした方でトリガー機構が作動する。圧トリガーは、Yピース部での近位圧"Proximal Airway Pressure"とPSV, PCV基準圧とを比較した差圧により圧トリガー信号を得る。フロートリガーは吸気側と呼気側のフローセンサーの流量の差によりトリガー信号を得ている。
2)ASSIST/CONTROL
通常のsCMVで、flow generator,time cycle方式である。トリガー不応期は0.2秒である。
3)SIMV
トリガーウィンドーはSIMVサイクルの終末1.5秒に設定される、固定時間方式が採られている。CV5000は、フロートリガー方式が採用されているので、トリガーウィンドー時間でも定常流は止まらない。
4)PSV
吸気終了認識条件は、ピーク吸気ガス流量の25%値が採られている。最大2秒、トリガー不応期0.35sである。
5)SIGH
Gのつまみで設定された間隔で、一回換気量の150%の量でSIGHをする。
6)無呼吸バックアップ
すべての換気モード時に無呼吸バックアップが利用できる(SIMVモードでは4BPM以下の設定時)。15秒間トリガー検出や換気情報がない場合に作動する。バックアップ換気は10BPMのボリューム換気(PCV使用時には圧換気)で行われる。自発呼吸をトリガーすれば自動的に解除される。
7)バッテリー駆動
内臓バッテリーにより、停電時でも約30分間作動できる。
8)ネブライザー
30分で自動停止する。機械換気時には215m L/sで、PSV, PCVには40〜50m L/sでネブライザーガスが供給される。ネブライザーガス流量による換気量の変動はおこらないが、その分だけ(人工呼吸器が出力する)吸気ガス流量が減少しているので、当然の結果として加温加湿器を経由しないガスが患者に供給される割合が増加する。
6.操作体系(図III-9-3)
CV-4000以前では機構上の必然性によりつまみの配置が決定されていたが、CV-5000では純電子的な処理が多くなったのを反映して、操作の必然性にそったデザインがされている。
1)緊急時
つまみトップに書いてあるアルファベットの文字を正しい方向になるように設定すれば、標準設定になるという、従来の方式も世襲されている。つまみも合理的に配置されてたいへん扱いやすくなっている。
2)換気量、呼吸数
一回換気量は V、Ti のつまみを使って、吸気流量と吸気時間の積で決まる。この積は機械が自動的に演算して数値表示してくれる。吸気流量は機械式のバルブにより調整されるが、このつまみに連動したポテンシオメーターがつまみの位置を制御ボードに送っている。
3)その他
CV-4000以前では、電気回路を調整するつまみには目盛りが印刷されていたが、機械式に調整するつまみには目盛りがない欠点があった。CV-5000ではすべてのつまみに目盛りが印刷されている。例外はPEEP/CPAPとだけで、気道圧計の針の動きを見ながら設定する。
7.モニター、アラーム機能
1)呼吸状態のアラーム
気道内圧上限、気道内圧低下、呼気分時換気量と必要にして充分な項目が用意されている。
2)機器のアラーム
配管の圧、電源、電気回路の異常を警報するアラームがある。
8.ディスプレー機能
1)設定値
設定一回換気量、設定呼吸回数、吸気相時間を数値表示してくれる。
2)換気状態
全呼吸数、一回換気量、呼気分時換気量と必要にして充分な項目を数値表示している。
9.患者回路構成、加湿器(図III-9-4)
F&P MR480 ,MR 410 が用意されている。
10.日常のメンテナンス
呼吸回路、呼気弁は日常的に洗浄、滅菌する。バクテリアフィルターはオートクレイブのみ可能。フローセンサーは70%イソプロピルアルコールに浸すか、EOG滅菌をおこなう。ネブライザー使用時には、呼気弁やフローセンサーにトラブルを生じやすいので、頻回に保守点検をおこなう。
11.定期点検
IMIの指示に従う。
12.欠点
呼気弁とフローセンサー周辺の設計が、世界のトップレベル(特にT-Bird)と比較するとやや野暮ったいが、総合的に見て(国産機では稀であるが、)設計思想がしっかりしているのは高く評価できる。ベースフローと定常流の概念をきちんと分けてデザインしてもらえればさらに良かったが、おそらくこのデザインではCV-5000の平均的なユーザーはきちんと理解できないままであろう。フロートリガー値も固定になっていることだし、ベースフロー値も固定で充分であろう。欲を言えばPC-SIMVも欲しかったが、これはCV-5000の目指すコンセプト(基本に忠実なベーシックモデルとつくる)とは相容れないかも知れない。フローセンサーの校正がボタン一つで自動的におこなわれれば、なおベターであった。
CV-4000 α
1.特徴(図III-9-11)
CV-2000は1975年に米国MRT社が開発した人工呼吸器であるが、皮肉なことに米国ではあまり売れず、日本で一番多く売れた。そこで、日本代理店であるIMIは、MRT社が撤退する際にライセンスを買い取り、国内での生産を開始した。1985年に発表されたCV-3000は、CV-2000の不評な部分をIMIが手直しした機械である。1991年にはPSVを搭載するCV-4000に改良されたが、CV-2000のコンセプト、外装のデザイン、パッケージや機構をCV-2000より引き継いでいる。操作方法や機能についても、良い意味でも悪い意味でも「CV-2000のしがらみ」を引きずっている。1992年には呼気弁周辺を改良したCV-4000αに変更された。1996年にはCV-4000αRev.2に改良された。
2.性能
1)利用できるモード
Control/Assist
SIMV+PSV
PSV
CPAP(定常流)
無呼吸バックアップ
---------------------------------
+PEEP
2)基本データー
システム作動間隔時間... 2 ms
最大吸気ガス流速
強制換気............75 LPM
PSV.................80 LPM
吸気ガススルーレート... ? L/s2
最大強制換気数.........80 BPM
最大SIMV回数...........80 BPM
3.制御回路、制御機構の解説
1)制御機構の概説
CV-3000には、MPUにintel 8035 (8bit)を使用しているが、意外なことに主要な制御機構を古典的なニューマティック回路に依存する。CV-4000では、PSVを可能にする為、これらの機構の相当の部分が電気化された。しかし、基本設計はCV-3000の改良、発展版である。吸気・呼気の切替えやSIMVのタイミング処理、1回換気量や呼吸数の演算にMPUが使われているが、吸気ガスの流速制御はニューマティック機構に依存している。MPUは作動異常に備えて2組搭載されている。
2)機械的機構の特徴
CV-3000からCV-4000にバージョンアップするにあたり、吸気への応答性の改善と呼気の仕事量の軽減が追求された。また、ディマンドバルブ方式ではあるが、PSVも可能となった。そのため、呼吸仕事量はCV-3000と比べて著しく軽減された。具体的には、トリガー機構の圧センサーを半導体式に変更する、トリガー信号でディマンドバルブを強制的に開けて時間的な遅れを最小限にする、呼気弁のバルーン駆動回路の改良する、等の改良が行われた。必然的に制御回路の相当部分が電気制御になった。
3)ガス流速計測
PSVの吸気終了を認識する為だけに、ディマンドバルブの出口に流速計が設けられているが、全体の吸気ガス量は測定できない。
オプションでIMI製の呼気換気量モニターを付加できるが、人工呼吸器の制御情報に利用していない。
4.ニューマティック回路(図III-9-12)
O2/Air入力より入ったガスをそれぞれ、減圧弁で同じ圧に調整した後、機械式のミキサーで酸素濃度を調整する。
1)CMV
電磁弁(EV-1,G-5)で、フローコントロールバルブを制御して吸気ガス(CMV)になる。吸気流速調節は機械式の弁"flow valve assey"で行う。気道内圧や吸気流速による補正機能はない。呼気弁の駆動はEV-2が担当しており、吸気時に呼気弁を閉じる。
2)ディマンドガス
SIMVやCPAPでは、自発呼吸時にディマンドバルブ(Demand valve)もしくは、定常流回路よりのガスを吸える。定常流はC.FコントローラーやC.Fバルブにより調節される。なお、ディマンドバルブはロバートショー製(US)である。
3)PSV
PSVの吸気ガスはディマンドバルブより供給される。ディマンドバルブは基準圧に等しくなるまで、ガスを出力する機械的な部品で、基準圧の使い分けで通常のディマンドシステムとして作動する以外にPSV用の圧ジェネレーターとして機能する。PSVの吸気相では基準圧をPEEP圧からPSV圧にシフトする。電磁弁(EV-6,A-8)がこれを切替える。PEEPレギュレーターとPSVレギュレーターはそれぞれの基準圧を作る。Rev.2では440mlのリザーバータンクが追加され、ピークフローに対する追従性が改良された。
4)SIMV
CV-3000ではニューマティック回路を利用してSIMVのスイッチを入れていたが、CV-4000では直接電気で制御する方式になった。なお、CV-4000ではトリガーウィンドーになっても、定常流は止まらない。
5)呼気弁
CV-4000以前の製品では、呼気弁自体にはPEEP機能がなく、さらにPEEPアッセンブリを併用する必要があった。この点はCV-4000αで改良され、呼気弁自体にPEEP/CPAP機能を持つようになった。また、呼気弁制御系も改良されて、呼気バルーンの駆動ガスの抜けを良くして応答性を改善し、呼気抵抗を軽減した。さらに呼気弁は本体サイドに固定される構造になり、患者回路がスマートになった。
5.制御ソフト
各機能の説明
1)トリガー方式
圧トリガー方式が採用されている。CV-3000では、ネブライザーマニホールドの部位で、アダプターを介して気道内圧感知用のチューブが設けられていたが、CV-4000になりYピースで近位圧"Proximal Airway Pressure"を測定する。また圧センサーもメカニカル式から電子式に変更されて感度とレスポンスが改善された。
2)ASSIST/CONTROL
通常のCMVで、flow generator,time cycle方式である。トリガー不応期は0.2秒である。
3)SIMV
トリガーウィンドーはSIMVサイクルの終末1.5秒に設定される、固定時間方式が採られている。CV-3000ではトリガーウィンドーになると、定常流を止め、相対的にトリガー感度を上げた。定常流の有無によりトリガー機構を「スイッチ」していたが、大きな吸気では自発呼吸相であってもトリガーしてしまった。CV-4000では純粋にMPUの処理によってSIMVが行われるので、トリガーウィンドーでも定常流は止まらない。また、トリガー感度を鋭敏にしても誤動作がない。
4)PSV
吸気終了認識条件は、吸気ガス流速が26LPM以下が採られている。最大2秒、トリガー不応期0.35sである。
5)SIGH
Gのつまみで設定された間隔で、一回換気量の140%の量でSIGHをする。
6)無呼吸バックアップ
前バージョンでは、PCV(Ti 1秒)でバックアップが行われた。Rev.2では、すべての換気モードで無呼吸バックアップが利用できるようになった。バックアップ換気は10BPMのボリューム換気で行われる。自発呼吸をトリガーすれば自動的に解除される。
7)バッテリー駆動
内臓バッテリーで、停電時でも30分間、作動できる。
6.操作体系(図III-9-13)
1)緊急時
つまみトップに書いてあるアルファベットの文字を正しい方向になるように設定すれば、一応使用できるようになっている。
2)換気量、呼吸数
一回換気量は E、F のつまみを使って、吸気時間(TI)と吸気フローの積で決める。この積は機械が演算して数字で表示してくれる。呼吸数も E、J、L のつまみで TI、TP、TE を調整すると演算結果が数字で表示してくれる。
3)酸素濃度
例外的に酸素濃度コントローラのつまみ(B)には較正されたポイントが手書きされている。このつまみだけは印刷された数字ではなく、較正された点を目安に調整する。
4)その他
電気回路を調整するつまみはしっかり目盛りが印刷されているが、機械式に調整するつまみには目盛りがない。これらは気道圧計の針の動きや数字ディスプレーを見ながら設定する。
7.モニター、アラーム機能
1)呼吸状態のアラーム
呼吸状態に関するアラームは、気道内圧上限、気道内圧低下だけである。Rev.2では気道内圧上限アラームは電子式に変更され、アラーム作動時に強制的に呼気相に移行するようになった。
2)機器のアラーム
配管の圧、電源、電気回路の異常を警報するアラームがある。
8.ディスプレー機能
1)設定値
設定一回換気量、設定呼吸回数、I:E比は TI,TP,TE,吸気流速より自動的に計算表示してくれる。
2)患者状態
患者の呼吸状態については(マノメーター以外には)監視や表示機能を持たない。
9.患者回路構成、加湿器(図III-9-14)
カスケード型、F&P MR428 ,MR 338, MR600 型、BEAR社 VH820 のいづれでも選択できる。
10.日常のメンテナンス
呼吸回路、呼気弁を洗浄、滅菌する。
11.定期点検
6ヶ月ごとの定期点検、1 年ごとのバクテリアフィルターの交換、10,000時間ごとのオーバーホールが、IMIより勧められている。
12.欠点
1)PSV
PSVでは、供給できるガス流速が少ないので、あたかも圧サイクル換気(Pressure cycle ventilation)の様に作動する。同じ換気量を得るには、他の機械に比べて高いPS圧を必要とする。
2)定常流
CV-3000は定常流で自発呼吸に対応していたので定常流の設定に必然性があったが、圧トリガー方式で、PSVを装備するCV-4000に定常流を30 LPMまで設定できる必然性はあるのだろうか。
CV-3000,CV-2000
1)特徴(図III-9-15)
CV-2000は、完全なニューマティック回路構成である。電気を一切使わず、ガス圧だけで作動する「芸術品」であった。ところが構造上の必然で、一回換気量や呼吸数を2つ以上のつまみを操作して(頭の中で暗算して)設定する機構になった。この点は不便なので、計算値がデジタル表示されるように改良したのがCV-3000である。これはCV-2000の制御回路の一部を電気制御回路に置き換える事で達成されたが、部分的な手直しのため、制御回路がハイブリッド構成になってしまった。一応、電気信号の処理用にMPUが使われているが、制御機構の大部分をニューマティック機構に依存する。そのため、CPAPだけなら電気を使わなくても作動する。
2)ニューマティック回路(図III-9-16)
図に示した。
CVベンチレーター比較
|
PEEP機構 |
トリガー機構 |
主な改良点 |
CV-2000 |
regulator方式 |
pneumatic方式 |
|
CV-3000
|
regulator方式
|
pneumatic方式
|
Time cycle部分を電子化、換気量・ 呼吸回数等をLED表示 |
CV-4000 |
needle valve方式 |
差圧センサー |
PSV機能追加 |
CV-4000α |
needle valve方式 |
差圧センサー |
PEEP/呼気弁回路の統一 |
CV-4000 α
(Rev.2)
|
needle valve方式
|
差圧センサー
|
Resevoirの追加、バックアップ方式の
変更、アラーム機構の電子化、
LED表示の追加
|
図III-9-1 CV-5000の外観
図III-9-2 CV-5000のニューマティック回路
全く新設計のためCV-4000と比べると合理的ですっきりとした回路設計になっている。
図III-9-3 CV-5000の操作パネル
合理的でシンプルなパネルデザインにより操作性が向上した。フロートリガーを装備するので定常流(ベースフローと呼ぶべきか)が用意されている。
図III-9-4 CV-5000の患者回路
図III-9-11 CV-4000αの外観
図III-9-12 CV-4000αのニューマティック回路
CV-3000と比べるとかなり改良されているが、まだまだCV-2000の遺産を引きずった回路の引き回しになっている。例えばほとんど同機能の木村KV-5に比べると合理性に疑問を感じる部分がある。
図III-9-13 CV-4000αの操作パネル
アルファベットの文字を正しい方向にすると緊急時の設定になる。
図III-9-14 CV-4000αの患者回路
図III-9-15 CV-3000の外観
図III-9-16 CV-3000のニューマティック回路
基本的な部分はCV-2000そのままのニューマティック回路による制御であるが、一回換気量や換気回数を数値表示するために一部が電子制御に置き換わったハイブリッド設計である。