J.APRV(Airway Pressure Reliese ventilation)
1.概念と目的(図1−15)
CPAP圧を(呼気に同期させ)間欠的に開放し、呼気補助をするのがAPRVである。BIPAPとの相違は、(1)開放する期間に自発呼吸が入らない、(2)開放時間は1〜1.5秒に制約される、である。EvitaのBIPAP機構を利用するのが簡便であるが、独自のAPRV装置を作成しても、APRVが可能である。
2.構成要素
(1)CPAP相と(2)開放相で構成されている。
3.制御方式
1)制御機構
EvitaのBIPAPを利用する以外は、定常流型のシステムを用いてTime cycleでCPAP圧を切替える。この場合自発呼吸に同期しない。いづれにせよ、評価は装置自体の性能に影響される。
2)作動原理
BIPAPと同じようにCPAP圧の開放を吸気の終了と同期させ、再加圧を吸気の開始と同期させた方が換気効率上望ましい。現状ではEvitaのBIPAP機構が最良である。
4.修飾要素
1)シンクロナイズ機構
EvitaではBIPAPの条件(トリガーウィンドー、吸気開始・吸気終了認識条件)を使うが、独自の装置ではシンクロナイズ機構を作成するのは難しい。
2)CPAP圧、開放圧
適切なCPAP圧、開放圧は酸素化能の改善に有効である。しかし、換気効率上、どのようなCPAP圧、開放圧を用いれば最適かは決定し難い。
3)開放回数
最大APRV頻度は自発呼吸数の1/2までである。適切なAPRV頻度は不明。
5.利点、欠点
APRVでは、気道内圧を付加する事なく、換気補助ができる点が利点である。高いCPAP圧を用いると酸素化能の改善が期待でき、また、呼気解放により換気補助が期待できる。しかし、CPAP期間中に換気抑制を生じる欠点もある。したがって、圧差を多くしても、一概に換気補助が増加するとは限らない。いづれにせよ、自発呼吸の存在を前提条件であり、また、換気補助能力に限界がある点が適応上の制約である。